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| 犬山城のふもとに広がる「有楽苑(うらくえん)」には、国宝茶席三名席のひとつ、「国宝茶室如庵(じょあん)」があります。織田信長の実弟にして大茶匠、織田有楽斎が京都の隠居所につくった茶室を移築したもので、美しい庭園のなかに、凛とした佇まい。茶室というと、固いイメージだったり、敷居の高い印象を持たれがちですが、「如庵」は別格。造形の天才ともいわれた有楽斎が、感性の赴くままに、自由な発想によって生み出した茶室は一見の価値あり。「新築やリフォームで和室を」と考えている方にもぜひ体感していただきたい空間です。 |
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あえて窓の高さとデザインを揃えない |
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| まず土間で靴を脱ぎ、水屋を通り抜けて、茶室へ。第一印象は「明るい!」の一言でした。一般的に茶室は窓がなくて(あっても小さな窓)薄暗いイメージですが、如庵は光がたっぷりと差し込み、しかも爽やかな風が通り抜けていきます。光と風の秘密はもちろん窓。わずか二畳半の茶室に5つも窓が設けられ、さらに天井には突き上げ窓(天窓)までついています。 |
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5つの窓は、すべて高さが異なり、デザインもさまざま。そのひとつ、外側から細い竹が詰め打ちされた手法は有楽斎が考案したもので、「有楽窓」と呼ばれています。障子を閉めたときに映し出される縦筋の陰影が美しく、空間に奥行きを感じさせる趣きのあるデザインです。あえて5つの窓の高さやデザインに変化をつけているのは、季節や時間の経過と共に、窓から差し込む光の変化や移ろいを楽しむため。自然の光によって刻々と表情が変わっていくドラマティックな演出といえるでしょう。また茶を立てる点前座と、客人が座る客座を仕切る中柱にはめられた板壁は、ろうそくの炎をモチーフにアーチ状にくり抜かれています。この「明かり取り」によって、点前座と客座を自然に溶け合わせる効果ももたらしています。 |
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| 屋根の煙り出しに発想を得て、有楽斎が考案した突き上げ窓。今でこそ住宅の天窓は決して珍しくありませんが、当時、天井に窓を設けるという発想は、茶人の世界で物議をかもしたほどだとか。有楽斎の常識にとらわれない自由な作意がここにも息づいています。 |
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壁面の腰張りに古暦 |
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| 自由な発想といえば、壁面の腰張りにも注目。そこにはなんと古暦がぐるりと貼りめぐらされています。現代でいえば、カレンダーや日めくりを壁紙がわりにしているようなもので、何ともユニークなアイデアです。古暦は、1629年から30年間隔で張り替えられた形跡が残っているそうです。古暦が腰張りになっていることから「暦張りの席」とも呼ばれた如庵。常識という枠を打ち破った空間に包まれていると、「茶室といえども、空間づくりは自由でいいのだ」と改めて思います。ただし、茶室の基本だけは知っておいたほうがいいかもしれません。例えば、床の間に花を生ける場合、中心ではなく、7対3の割合で右寄りに置くと美しいとされています。これは「人の身体は左右対称ではない」という考えに基づくものです。 |
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| 如庵の床の間の落とし掛け(おとしがけ)には、左右2カ所、非対称に面取りがされており、有楽斎が人間の眉を表現しているのだとか。床の間を顔に見立ててしまう、何ともユニークな遊び心です。落とし掛けの面取りは「人間は不完全で良いのだ」というメッセージでもあり、有楽斎の人間味あふれる人柄が伺えます。写真では分かりづらいと思ので、実際に如庵に足を運んでぜひチェックしてください。 |
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もうひとつ、注目していただきたいのが障子貼りです。貼り合わせた部分をよく見ると、縦と横の太さが違うことが分かります。これは「石垣貼り」といって、幅の狭い障子紙を石垣を積むように貼り合わせて使う伝統的な手法。今は大判の障子紙があるので、わざわざ貼り合わせる必要もないのですが、如庵では、あえて昔ながらの手法にこだわっています。今となってはもう、職人ワザですね……。 |
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小さな世界を生み出す玄関へのアプローチ |
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| 如庵の見学を終えたら、周囲の散策をお勧めします。有楽苑には、由緒ある文化財が点在するだけでなく、それらを包み込むように設計された庭がとても見事。特に感心させられたのは、アプローチのレイアウト。まっすぐ建物へと誘導するのではなく、斜めにしたり、カーブを描くことによって、視界に入ってくる景色に変化をつけているのです。これは一般住宅でも応用できる方法で、玄関までのアプローチにあえて距離を持たせることで広さや奥行きを感じさせたり、その家ならではの世界観を演出することができます。また仕事から帰ってきたとき、アプローチでひと呼吸を置くことによって、気持ちの切り替えにもなります。 |
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如庵がつくられた京都をイメージして設計された庭園は、閑寂と品格が漂います。有楽斎が好んだという有楽椿、ひとつばたご、華奢な竹を見下ろすように、緑豊かな借景が広がっています。本当に京都にいるようです。 |
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| 有楽苑のなかで、最も美しい景色のひとつとされるのが「含翠門(がんすいもん)」。その名のとおり、門の向こうに見える翠(みどり)がみずみずしく、まるで門という額縁に入れられた一枚の絵を眺めているよう。秋には木々が紅葉で色づき、その美しさは格別だとか。 |
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石の表情を楽しむ |
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アプローチに関する2つめのポイントとして「石」があります。有楽苑では、さまざまな石が使われていて、じつに表情豊か。敷き詰めて石畳にしたり、飛び石のようにアトランダムに配置したり。石の並べ方ひとつで、これほど庭に変化が生まれるとは驚きです。さらに石マニアならご存知のことですが、靴脱ぎ場にはやわらかい「鞍馬石」、庭のアクセントには鋭い形をした「根府川(ねぶがわ)石」と、さまざまな石が使われています。 |
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ちなみに、ところどころに置かれたヒモつきの丸い石は「関守石(せきもりいし)」といって、いわば道しるべ。四季折々、庭に咲く草花を眺めることができるよう、客人を誘導するときに重要な役割を果たすものです。ホームパーティで人を招くときなど、あえて自慢の花壇を通ってもらうように、玄関からのアプローチに「関守石」を置くのも楽しいかもしれません。 |
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| 有楽苑の庭園を散策した後は、旧正伝院書院(需要文化財)で一服のお抹茶を(小菓子付きで500円)。ここは有楽斎の隠居所で、隣接する如庵や目の前に広がる庭を眺めながら贅沢なひとときを味わえます。 |
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| 今回は国宝茶室を訪ねましたが、いかがでしたか。もともと茶室とは、戦国の世にあって、気持ちを安らかにするための心の拠り所であり、癒しの空間でした。堅苦しいしきたりやルールにとらわれず、自分にとって居心地のいい空間を大胆に生み出した有楽斎のように、自由な発想で空間を楽しんでこそ、快適な暮らしと呼べるのかもしれません。部屋の一角でもいいし、屋根裏でもいい。わずか一畳のスペースでもいい。「有楽好み」ならぬ「自分好み」の癒し空間を、我が家のなかにつくってみてはいかがですか。 |
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有楽苑(株式会社名鉄犬山ホテル)
愛知県犬山市御門先1番地
TEL 0568-61-4608
http://www.m-inuyama-h.co.jp
開苑時間 AM9:00~PM5:00
※7月15日~8月31日はPM6:00まで
12月1日~2月末日はPM4:00まで
入苑料 1,000円(小中学生600円) |
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ご注意)国宝茶室「如庵」の内部公開は「特別見学会(要予約)」か「特別公開」のみ。
それ以外は建物の外からの見学となります。 |
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■特別見学会
(要予約、2名以上) |
1人2,300円/国宝茶室「如庵」の内部公開。学芸員の方の
ガイド付き、入苑料、呈茶料含む
月2回予定。20名以上の場合は別途ご相談。
詳しくは有楽苑までお問い合わせください。 |
| ■特別公開(予約不要) |
1人1,900円/重要文化財「旧正伝院書院」のふすま絵と
国宝茶室「如庵」の内部公開
2009年11月13日(金)~16日(月)AM9:30~PM4:00 |
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コメント一覧
がみやん|2009.09.03
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ショコラ|2009.09.05
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かえる|2009.09.17
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