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浜名湖から北東へ約10km。雑木林にひっそりと包まれた『茶房日々』は、お店の看板さえ出ていない、まさに隠れ家的カフェ。木の扉がほんの少し開かれ、手前に小さなオブジェが飾られていれば「どうぞお入りください」の合図。庭の緑に誘われるようにアプローチをすすめば、玄関にぽつんとオレンジの明かりが。懐かしい誰かの家をふらりと訪ねた気分です。 |
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築50年という家屋の歴史を感じさせる、昔ながらの土間玄関。大人の背丈ほどある和紙の照明器具(イサムノグチ作)が、室内の壁や木の廊下をやわらかな光で満たします。
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廊下の右手には8帖の和室。床の間、飾り棚などをしつらえた書院造りになっています。飾り棚の向こうに広がる庭の緑が、部屋の中へみずみずしい空気を運んできます。 |
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廊下に4タイプのインテリア空間 |
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| カフェは8帖の和室と、そこを囲む廊下で構成されています。和室の凛としたしつらえもさることながら、最も感心させられたのが廊下の活かし方。足つきのお膳でお茶をいただく「座の空間」、ゆったりとしたチェアに腰をおろす「ラウンジ空間」、ガラステーブル越しに庭を眺められる「カウンター空間」そして、小さなカフェテーブルを設えた「シッティング空間」。もはや廊下と呼ぶのはためらわれるほど、4つの素敵なインテリア空間が客間をL字に囲んでいます。「廊下にチェアやテーブルを置いたら窮屈では?」と思われるかもしれませんが、実際に『茶房日々』へ足を運んでいただけば、圧迫感などないことがお分かりいただけるはず。それに加え、4つのインテリア空間を設けることによって、わずか8帖の和室がとても広く感じられることも新鮮な驚きでした。 |
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光と影のドラマティックな演出 |
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| ライティングによる演出も見事です。床の間やお膳などをドラマティックに照らし出し、光と影によって空間の美しさを際立たせています。床の間に生けられた花は、光のカタチを調整できるスポットライトによって、四角く切り取られた光の中に浮かび上がります。それはまるで光の敷板。畳に落とした植物の影も美しい造形を醸し出し、影もまた空間を彩るオブジェなのだと改めて気づかされます。 |
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日常空間の中にアートを |
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ここではアートもインテリアの一部となっています。アートといっても、著名な作家の作品をただ飾るといった発想ではなく、例えばお気に入りのアーティストのポスターや展示会のリーフレットなどの一部分を切り取って、連写のように壁に何枚も並べて一輪の花を添えたり、テーブルのガラス天板にポスターをはさんだり。日常空間の中に、うまく溶け込ませているところがとても心地良いのです。
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和室に並べられたお膳にもガラスの天板がジャストサイズでセットされ、その下にポスターが飾られていました。クラシックなお膳に、アートの薫りをプラスする素敵なアイデアです。シーンやゲストなどに合わせて、自由に絵柄を変えられるのも魅力です。またオーナーが自らセレクションをし、室内に静かに流しているBGMも空間に美しく溶け込み、音もまた洗練されたインテリアの要素となっています。 |
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 視界に飛び込む「フォーカルポイント」を印象づけることは、インテリアにおける基本中の基本。廊下の突き当たりではアートがスポットライトに照らされ、床の間から見える廊下の壁はポスターで飾られていました。これらもドラマティックな演出です。 |
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| 手洗い用のシンク内に置かれた桶には、さりげなく花が活けられていました。 |
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森の中へと続く白いテラス |
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インテリア空間において、大切な役割を果たしているのが、廊下から存分に眺めることのできる庭です。もともと鬱蒼としていた雑木林を、この家に移り住んだオーナー夫妻が10年かけて手入れしたそうです。陽の差し込む明るい空間へと生まれ変わった庭に、回廊のように配置された白いテラスは、まるで森の中へ続いていくかのよう。晴れた日はテラスでお茶をいただくこともできるとか。 |
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| ふとテラスの先に目をやると、2脚のパントンチェアがぽつんと置かれています。近づいてみると、じつはジュニアサイズ。遠近感を強調し、見る者を錯覚させるオーナーの遊び心なのでしょう。あえて小ぶりのチェアを置くことで、実際より遠くにあるように見え、庭にいっそうの奥行きを感じさせます。チェアの方へ背を向けているウサギの置物が、おとぎ話の中のワンシーンのような不思議な光景をつくり出しているのも印象的でした。 |
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窓際に置かれたガラスのカウンターテーブルは、奥がミラー仕様となっているのですが、そこに庭のみずみずしい緑と空が逆さまに映り込み、はっと息をのむ不思議な美しさ。この席に座った人だけが味わえる小さなサプライズです。  |
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『茶房日々』は、かつての日本人が慈しんだ日々の美しい暮らしや生き方を体感していただく空間であり、日本家屋の様式美を改めて確認できる場でもあります。最近、併設したばかりのショップには、日本全国から選び抜かれた職人さんや作家さんたちの作品が、愛しそうに並べられています。漆塗りの折敷(赤木明登作)、杉のお櫃(ひつ)、開化堂の茶筒……。一つひとつに職人魂が宿っており、ショップというより、匠の逸品をコレクションするギャラリーのようです。 |
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| オーナーの河合斗倭子(とわこ)さんが、『茶房日々』やショップを運営するきっかけとなったのは、夫婦でこの家に移り住んだこと。「家全体に対して客間のスペースが広く、それを暮らしや人生にどう活かせるか、この家に毎日問いかけられている気がしました。ある日、空間を使いきれない自分に気づき、それからは和室の様式美などをひもとき、床の間の飾り方、おもてなしの仕方を自分なりに勉強しました。そして、お客さまをわが家の客間へお招きする『茶房日々』が生まれたのです。ここは日常と非日常を結びつける場所。月替わりで床の間の飾りを変え、花は毎日活けるのですが、そのたびに新しく生まれ変わるようで、本当に毎日が新鮮。私はきっと、この家に育てられているんですね。この家で出会う方たちは、すべて一期一会。大切な時間を共有できたらうれしく思います」と語る魅力的な斗倭子さん。家やモノに対する思いは尽きません。日々新しい発見に出会えそうな、インテリア上級スタイルのすばらしい和カフェです。 |
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| 『茶房日々』で出されるコーヒーやスイーツ、食事は、すべて身体に良いオーガニックで作られたもの。作家さんの器やカトラリーを使ったスタイリングもアートのように美しく、味覚と視覚の両方を刺激してくれます。左上から、無農薬の青森産りんごをたっぷり使った「秋日和」、「ボストンクリームパイ」、そしてシェリーグラスにスイーツを盛った「シェリー」。メニューは季節によって変わります(値段は800円~900円)。一汁一菜膳や精進懐石(いずれも要予約)などのお食事も用意しています。心と身体を浄化してくれる美しい空間へ、あなたも出かけてみてはいかがですか。 |
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パウリスターノ アームチェア |
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ブラジルの巨匠建築家パウロ・メンデス・ダ・ローシャによるデザイン。風をはらむように軽やかなシルエットでありながら、実際に腰を下ろしてみると、しっかりとした座り心地に驚きます。同氏は2006年度にプリッツカー賞を受賞。
※お問い合わせ先は茶房日々まで |
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コメント一覧
がみやん|2009.11.30
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ショコラ|2009.11.27
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