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投稿者:本村 葉子さん(パートナー)

掲載日:2009年12月08日

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インテリアSTUDY<施設編>六華苑(三重県桑名市)

インテリアSTUDY 施設編
Point1 斬新な和洋折衷スタイル
空間に馴染む和洋折衷のインテリア
Point2 広縁風の陽だまりサンルーム
外観をデザインするテラスとサンルーム
Point3 オリジナルデザインをプラス
ハート模様をあしらう遊び心
Point4 家の外観は主の楽しみから生まれる?
景色を眺める4階建ての塔
インテリアコーディネーター 本村葉子
『六華苑(ろっかえん)』
揖斐・長良川を臨む約18,000m²の広大な敷地に、明治・大正時代を代表する国の重要文化財『六華苑(ろっかえん)』はあります。桑名の実業家で山林王とも呼ばれた二代目諸戸清六が、新婚時代に新居として完成(大正2年)させたもの。洋館、和館、蔵などで構成され、洋館部分は「日本近代建築の父」と呼ばれたイギリス人建築家、ジョサイア・コンドル氏が手がけました。彼の名は知らなくても、鹿鳴館を設計した建築家といえばお分かりいただけるでしょう。コンドル氏が国内で設計した建築物は70近くありますが、ほとんどが関東大震災や戦争で失われ、六華苑は地方都市に現存する唯一の貴重な文化遺産です。
ポイント1 斬新な和洋折衷スタイル
斬新な和洋折衷スタイル
斬新な和洋折衷スタイル
斬新な和洋折衷スタイル コンドル氏は日本庭園や生け花など日本文化に精通した人物で、六華苑の洋館が晩年に建築された事もあり、随所に日本の要素をうまく取り入れています。例えば1階のゲストルームは、イギリス王朝を象徴するバラ模様の彫り込みや「廻り縁」をあしらった天井、アールヌーボー様式のマントルピースなど、ヨーロピアンスタイルのインテリアがあしらわれていますが、隣室への扉は、日本では馴染みの引戸となっています。この時代のヨーロッパの住宅では、扉もしくはオープンゲートが一般的なのですが、この引戸はコンドル氏をはじめとした西洋人により、和洋融合させるアイテムとして取り入れられたと思われます。ゲストルームはオフホワイトを窓枠や扉、天井廻りに用いた明るい空間。引戸を介して隣の部屋は、ダークブラウン色に統一され、戸の塗り分けがされていました。
斬新な和洋折衷スタイル
引戸の向こう側はダイニングルーム。こちらは落ち着いた色調に統一され、マントルピースもすっきりとシンプルです。ふと天井を見上げれば、日本の「格天井(ごうてんじょう)」を思わせるデザインが……。格天井とは木を格子に組んで板を張ったもので、この部屋ではシンプルなダイニングルームのアクセントにもなっていました。日本の典型的な格天井と違うのは、漆喰(オフホワイト色)と木(ダークブラウン色)と、素材と色のコンビネーションである事。これもまた、コンドル氏のインスピレーションなのでしょう。 異なる4つのゲストルーム
斬新な和洋折衷スタイル 2階のリビングルームにも和洋折衷のデザインを見つけました。一見、押し入れのような「ふすま戸」を開けると、内側は機能的なシステム収納に!ヨーロッパは置き家具が基本とされていますが、押し入れと家具を融合させた機能的なアイデアです。ご夫妻がそれぞれ専用として使われていたのでしょうか、左側にもまったく同じシステム収納が左右対称に収められていました。
ポイント2 広縁風の陽だまりサンルーム
広縁風の陽だまりサンルーム
六華苑の洋館の魅力を高めているのが、1階のインナーバルコニーと同じ広さを持つ2階のサンルームです。特にサンルームは、陽光がさんさんと降り注ぐ明るいスペースで、当時の日本人にとって非常に斬新な設計でした。しかしよく眺めてみると、窓はすべて引戸で、廊下を思わせる間取り。西洋では主流の外という感覚のバルコニーよりも、むしろ日本の「広縁」に似ていると思うのは私だけでしょうか。
広縁風の陽だまりサンルーム
広縁風の陽だまりサンルーム
広縁風の陽だまりサンルーム サンルームと室内は通じており、それぞれの部屋の色調に合わせて、サンルーム側はホワイト、室内側はブラウンと、扉の両面が塗り分けられています。今でこそ、こういった扉の塗り分けは珍しくありませんが、まさに先駆け的なインテリアといえるでしょう。
ポイント3 オリジナルデザインをプラス
オリジナルデザインをプラス
個人邸を設計する場合、たとえ小さな部分でもオリジナルデザインをあしらったり、ディテールにこだわったりすると、建物への愛着もいっそう深まるというもの。じつは六華苑にも、コンドル氏が新婚だった諸戸清六のために考案した、かわいらしいオリジナルデザインがあります。それはハートのカタチ。手すり部分の装飾や、マントルピース用の道具にハート模様をあしらうなど、コンドル氏のちょっとした遊び心が感じられ、微笑ましい気持ちになります。
オリジナルデザインをプラス 電気のスイッチやドアノブも、小さなパーツながら凝ったデザインです。諸戸家の家紋に使われている菊を意識したのか、電気スイッチはすべて菊模様。またドアの鍵穴のカバーにまで細やかな装飾が施されていました。
オリジナルデザインをプラス
ディテールへのこだわりとしてもうひとつ。当時としては珍しいアーガイル模様のタイルは、コンドル氏がわざわざヨーロッパから取り寄せたもの。玄関の土間、1階のベランダ、トイレなどの床に統一して敷かれていました。トイレといえば、まだ水道も全国に普及していない時代、諸戸清六は私財を投じていち早く桑名へ水道を引き、水へのこだわりからか、六華苑には水洗トイレが設置されていました。
ポイント4 家の外観は主の楽しみから生まれる?
家の外観は主の楽しみから生まれる? 六華苑が建っているのは、揖斐川のほとり。川を眺めることを好んだ諸戸清六は、玄関横に作られた4階建ての塔から、揖斐川の眺めを楽しんだそうです。直線の単純さを嫌ったコンドル氏は、この塔に曲線を大胆に取り入れました。回り階段の横にしつらえた待ち合い室はほぼ円形の空間で、現在でも制作が難しいと思われる曲面ガラスがはめ込まれ、その技術の高さに驚かされます。門からアプローチを抜けて最初に目にするファサード(正面)は、4階建ての塔がアクセントになっています。このユニークな外観は、高い塔からの眺めを好んだ家の主の嗜好や個性をそのまま現しているようでもありました。
家の外観は主の楽しみから生まれる?
家の外観は主の楽しみから生まれる?
左右対称の直線的な西洋建築に対し、独特のフォルムで人々を惹きつける六華苑の洋館は、コンドル氏の作品のなかでも異彩を放つ存在です。20代半ばにして日本政府に招かれて来日したコンドル氏。晩年の作品となった六華苑は、彼なりの和洋折衷スタイルを昇華させた集大成でもあり、68歳で亡くなるまで日本に生きた証といえるかもしれません。
家の外観は主の楽しみから生まれる?
六華苑
三重県桑名市大字桑名663-5
TEL 0594-24-4466
開苑時間 AM9:00~PM5:00
※入苑時間はPM4:00まで
休業日 毎週月曜日、祝日の場合は翌平日
    年末年始(12月28日~1月4日)
六華苑

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コメント一覧

  • サンルームの作り方は、いま見ても斬新なデザインですね。

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  • 六華園には、以前立ち寄ったことがあります。サンルームでの日向ぼっこが、最高に気持ち良かったです(笑)。貴重な文化遺産、変わらずこのまま保存してほしいです。

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  • 独特の雰囲気のヒミツは、「和洋折衷」だったんですね~!おとぎ話に出てきそうな円形の塔からの眺めも、ぜひ見てみたいです。

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